すっかりイラスト生成AIが普及しましたね。天下のGoogleやMicrosoftも公式で出してるくらいですし。
そんなわけで最近気になった“AIイラスト”をとりまく事情に関してつらつらとネロ先生と雑談。
最近やたら届くあるメール

あ、また届いた



なんだなんだ



AIイラストの注意喚起メールが最近届くんだよー





Ohー…



この前もトミーウォーカーさんからもこんなやつ届いたし。


*メール削除したのでWebページで失礼します



どこの企業もAIイラストの対応に追われてるって感じだな
🙅AIダメ宣言してるサービス増えたね



サービスの特性によって禁止理由は色々だけど、明示的に「ダメ」ってするところがとにかく増えたよね



そうさな。たとえ“法的”にクリアだったとしても“世論的に”アウトだと企業は「ダメ」って言わざるを得ないし。
簡単に調べるだけでざくざくでてくるな。
- Skeb → 「ダメ」(チャージバック詐欺防止)
- SKIMA → 「ダメ」(理由明記なし)
- coconala → 「ダメ」(理由明記なし)
- ピクシブ → 「ダメ」(サービスの趣旨でない)
- トミーウォーカー → 「ダメ」(権利的に完全白でないから)
- アルパカコネクト → 「ダメ」(権利的に完全白でないから)
ext…



そして各々でAIイラスト検出するソフト開発にいそしんでると…



AIイラストバスター!



(「ウイルスバスター」もじってるのね…)



AIをウイルス扱いかよ!って突っ込むところだぞ



高度



目視でも判別つかないAIイラスト増えてるし、今後も増えるんだろうから排除っていってもなかなかエグい作業だよな…



いやあ、経費が嵩みそうですなぁわははははは
(フツー開発ってウン百万とかウン千万〜かかるよ。そしてチェック人員増やすらしいから人件費ランニングコストもUPだね!)



国が対応してくれるまでは企業が踏ん張る。IT発展の成長痛というか皺寄せというか。。な………
魔女狩り対策が必要



イラストレーターは企業から疑惑かけられたらAIイラストじゃないことの説明義務が発生するってんだから震える…



AIイラスト魔女狩りってやつだな。
まあ、ソフトで検出されて目視で判断できなかったら企業としては聞くしかないからな



一般絵師にも皺寄せが…



最近AIイラストをレイヤー分けできるサービスもリリースされたからさらに判別できなくなるな



一枚レイヤーで描いてる場合じゃないぞ



はいぃ…



データ重くなるからってでタイムラプスOFFしてる場合じゃないぞ



ひいいぃ…ぜ、ぜんしょ、、します…
AIイラストって売っていいの



どなの?



日本では収益化は制限してないからな。いいんじゃないか



その場合、AI生成物の著作権ってどこに帰属するの?



まあそもそも、著作物でないが日本の見解だからな…原則どこにも帰属しないんじゃないか?



生成者は?なんか著作者になる的な話あるじゃん



あくまで、可能性の問題だからかなり限定的だし現行法ではこの世に溢れるほとんどのAIイラストが該当しないんじゃないかね。



え、じゃあよみ人知らず的な?え、きも。



………どちらかと言えば、タチの悪いパブリックドメイン的な?
*死後の著作権切れなどで財産権が発生しない創作物



……パブリックドメインで生計立ててる人とかいるんだろうか



いるんじゃないか?実際こゆことしてる人いるしな



ただパブリックドメインと違うのは
AIイラストは「著作権があるかも知れないしないかもしれない」という不明瞭さをもってるってとこじゃないか



権利が不明瞭なものを商品化してるってこと?
なんか心がざわざわするぞ…きもちわるいぃ…
というかなんか色々問題ありそう



まあ、問題が起きた時の対処が大変だわな。
だから先述の通り各企業がNGにしてるんだろ、リスクヘッジ観点で。
特にPBWみたいに著作権がイラストレーターだけでなくサービス提供している企業にも帰属する場合はその点が明瞭でなくなるわけだからセンシティブにならざるを得ない。



AI生成したイラストをちょちょって加筆したら著作物になったりしないの?



怪しいな



え



人間が描いたイラストだって第三者が加筆したところで著作権は移動しない。もしできたとしたら誰かの描いたキャラにメガネかけたらワイの著作物〜とか言い出せることになる
だからオリジナルから大きく異なる状態じゃないとその人の著作物にはならないんじゃないかね



背景だけAIとかは?



これもAIに限った話ではないな。
どこかのフリー素材をつかった時と同様に、その背景のみ抽出したらその部分は自分は著作権を保持していないことになる。
でもイラスト全体を見た時、
背景面積が2割りとか一部で他の大部分が完全オリジナルだったら著作権の主張ができるかもな。



まとめるとAIイラストは、売るのは可能だけど、著作権は主張できないと。
AI絵師は問題が起きた時に対処できない①



著作権の二大要素をさんはい



精神と財産!





じゃあまずは精神面



「著作者人格権」!



うむ。著作者が保持する“渡せない”権利だったけど



うんうん



「著作者」=自然人または法人
なのでAIが果たして著者者足り得るのか…



普通に考えるとならなそう



その場合「著作者人格権」の行使はできないな



誰でも「このイラストはワイが描いたぜ!」って言えると。(氏名表示権)



そうそう。極端な話、
誰でも弄り倒して(同一性保持権)他者を貶める画像に変更できるし(名誉声望権)、それを自作発言しても文句言えない。



無法地帯じゃん



君が“イラストα”をSNS投稿したしよう。
その隣でだれかが“イラストα”をちょちょっと加工した“イラストα改”を投稿する。
著作人格権がないとこういう絵面が可能になる。



こっわ……え、こっわ
AI絵師は問題が起きた時に対処できない②



次に財産面



「財産権」!



財産権は
複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、譲渡権、貸与権、頒布権、翻訳権・翻案権等、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利が…



すとっぷ!!!



…一部だけどこいう問題が発生する
- 勝手に転売されても差し止めできない
- 二次創作されても差し止めできない
- もちろん二次創作物を販売されてても差し止めできない



財産の独占権がないんだもんな…



まとめると、著作物でないイラストを扱うAI絵師は事実上法律で保護されないことになる。



たとえば。君は社長だ。
【しんたけブランド】を新しくつくったので
AI生成したキャラを“ブランドイメージキャラ”にしたとしよう。
誰かが違うブランドのイメージキャラに起用したとしても差しどめ請求できない。
もちろん逆に自分がやっても文句言われない。



おお…
著作権ロンダリング



逆に著作物を著作権フリーに変換できるという側面がある



著作権を主張されないようにコンバートできると。



例えば版権キャラを生成時にAIに噛ませれば版権キャラに似たイラストを生成できる



最近も公式かなってくらい似てるのあったなあ



でもさあ、類似性が認められれば侵害になる〜とかいう話あるじゃん



著作権者が起訴して裁判所で認められればな。
主人公なんかは故意的に普遍的デザインにすることが多いし言い張れば類似性とか言い逃れできるだろ



ええ…



著作権は親告罪



著作権者でもない誰かに指摘されても
そのイラストには著作人格権も財産権も存在しないと主張できる。ちょい暴論だがな。



そうなるとこの世に溢れる素敵な絵をもれなくコンバートして簡単に自分のサイトや制作物をいくらでも自分好みの素敵なものにできるわけだ。AI生成なんてワンポチだしな。



……ワンポチとはいえ呪文とか色々研究必要なのでは?



そんなの今のうちだ。すぐに発展するさ
ちょっと違うけど類似性観点でこんなこともある。





それを販売されたりしたらね



やだわー…



さて、ここでAIに噛ませるための画像、つまり誰かの著作物をダウンロードする行為が行われる



あ



たとえ適法でアップロードされてようが私的目的外で複製(ダウンロード)した時点で財産権には抵触するわけだが



……



さらに言えば私的目的であったとしても著作権侵害にならないのは「複製」のみであってAIに噛ませる(=公衆送信・譲渡)のは



…………



もっと言えばそれをさらにSNS投稿(=公衆送信、私的目的範囲でない)するのは、



するのは



アウトだと思いたい



wish to…
文化庁の今月発表(令和5年6月)された見解でも、ここでの”複製”について言及するかに思えたけど、どうとでも取れる内容になっててぶっちゃけグレーとしか言えない現状。(忘れたの?ってくらいスルーしてた気がするんだけど……誰か詳しい方教えてください…筆者の知識がないだけ…?)
https://www.youtube.com/watch?v=eYkwTKfxyGY
まとめ:まだ使うのは控えるのが無難そう



触らぬ神に祟りなしと。



触らぬAIイラストに祟りなし。



AIイラストはどうしたって悪魔の証明がついて回るからな



どう足掻いてもAIをつかった時点で真っ白になり得ないんだね…



AI絵師は法の”グレーゾーン”に立っていることを十分に意識してリスク対処を常に考えなくてはいけない、、と思う。
ってことでオメーには無理だ。やめとけ。



うん。取り急ぎは生成指示に他者帰属の著作物を使わず、ローカルで楽しむ分には問題なさそう(今日のご飯へらしてやろう)



そうだな。仕事に使うのはやめときたまえ。
このページは絵師の末席を汚す一般人しんたけがつらつら考えてることを晒しているだけのため、法律に関して間違った言及をしている可能性を孕んでいることをご了承ください…
参考文献
ぜひ読みたい記事


あと、とりあえず有名どころの規約はっつける。
https://docs.midjourney.com/docs/terms-of-service
https://openai.com/policies/terms-of-use
https://novelai.net/terms
https://stability-ai.squarespace.com/terms-of-use
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