昨日、絵描き仲間と喋ってたらそんな話がでたので今回はこんなお題。
こういうウンチク好き。
実際の影色の選び方自体はこっちにまとめてます。

※影と陰は今回一緒くたにしてます。
🌲 色相の自然連鎖に基づく
デジタルイラストで陰色を塗るときに、
- 乗算で青色を置く、または
- カラーサークルの色相を少しずらし明度を下げる

という情報がよく転がってると思いますがこれは「ナチュラル配色」という色相の自然連鎖に基づく配色技法を用いた塗り方です。
ゴッホやモネなどの時代、印象派でもよく用いられた配色技法で
詳しくは色彩検定などで勉強することができます☺️
🎨 ナチュラル配色
「ナチュラル配色」とは自然界の配色を基にした配色理論です。
自然界では同じ色でも日向では黄みを帯び、日陰では青紫みを帯びて知覚され、これらの自然な色の連続が認知できる状態が「調和している」だとした。このように黄に近い色を明るく、青紫に近い色を暗くする自然界に近い配色を「ナチュラル・ハーモニー」と呼ぶ。
wikipedia「色彩調和論」
このとき、“青紫みを帯びて”というのは完全に青紫色になるのではなく“色相が寄る”という意味です。
(絵を描いてる人はわかると思うけど青色に見えるところをスポイトで色抽出してみたら実は赤の色相でした〜、とかあるある)
🖼️ イラストにおけるナチュラル配色
そゆわけで自然界に基づいて考えると、陰色は
固有色色相のちょい下の色相にずらして明度を低くするといい

となるわけです。
「乗算で青色を置く」というのはこれをレイヤーモードで処理する手法であって基本的には同じことをしています。
一点違うと言えば彩度は下がる(乗算レイヤーの演算方法は減法混色と同じ処理なので色を混ぜれば混ぜるほど彩度が下がり灰に近づく)ことです。
なので、
黄色の固有色の影色として乗算で青を置くと補色なので当然ながら
濁る🌀
だから肌色やブロンド、イエローヘアーの影色を塗る時は青乗算を使わず暖色を乗算したり緑を影色にしたりします。
なお、日中の影色は青に寄せるけど環境光によってことなってきます。
朝・夕方のときの影色は黄〜橙みに寄せるとそれっぽい。
ざっくりとその時間帯の環境光が反射して陰色に影響を与えると考えるとわかりやすい。かも。
🌙 じゃあ光がない夜はどう考えるのか
夜を描いたイラストと、実際に夜に撮った写真を並べて

はて、なぜイラストは青なのか。写真はただ黒いじゃないか。
という疑問にはカメラレンズが持たない人間の生物的特徴が絡んできます。
網膜には錐体と呼ばれる色を認識する視細胞があり、
日中、太陽の元では色とりどりの色域を認識することができますが
夜、暗い所になると暗所モードに切り替わります。


そう、プルキンエ現象と呼ばれるものです。
長波長が見えなくなり、代わりに短波長を鮮やかに認識するようになります。
ハーモニー配色の考え方にプラスして、
暗所ではヒトは青と緑を鮮やかに感じるという特徴を考えると、夜のイラストが鮮やかな青で描かれているのも頷けます。
逆に、赤を感じにくいという特徴から
明度を変えずに赤を除く(青みを帯びさせる)だけで「暗所」と感じさせることもできます。


もちろん、イラストを描く上での配色方法としては
人間の目だけではなくレンズ効果を用いることもあるので
どの程度青を誇張させるかは最終的には好みの問題。。
今回はこんなところで👋
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