デジタルイラストで陰色を塗るときに、
- 乗算で青色を置く
という情報がよく転がってますが、これは「ナチュラル配色」という色相の自然連鎖に基づく配色技法を用いた塗り方で、
「乗算で青色を置く」というのはこれを機械的に処理する手法です。
ただ、ベース色によってはくすんだり
テイストに合っていなかったり
直感的な色操作がしにくいので、直接色を選びたいシーンがあります。
こういう時にどういう思考回路で色を選択すれば良いのか、検討したい。
基本の影色の考え方

「ナチュラル配色」とは自然界の配色を基にした配色理論で、影は色相が青によるという基本の考え方があります。
自然界では同じ色でも日向では黄みを帯び、日陰では青紫みを帯びて知覚され、これらの自然な色の連続が認知できる状態が「調和している」だとした。このように黄に近い色を明るく、青紫に近い色を暗くする自然界に近い配色を「ナチュラル・ハーモニー」と呼ぶ。
wikipedia「色彩調和論」
それに則して考えれば一般的に
色相をちょい下にずらして明度を低く彩度を高くする。
という方程式が出来上がります。

実際に自分で撮った写真の彩度を極端にいじると影の方は青い色相が浮かび上がってくることが知覚できます。
「影色の彩度はどうなるのか」
影とは光が遮られている場所なのだから、
常識的に考えて「光がない」=「彩度がない」になるのでは。
と、そう考えていたのですが実際は写真を観察するとむしろ影になるほど彩度が上がっていることが観測できます。

なぜ………
固有色の彩度が一番MAXになる状態とは、
程よく光が当たっている状態のことであり、
逆に固有色の彩度が低くなる状態とは
- 全く光が届かない状態
- 光が当たりすぎている状態
だったのです。
つまり、影色の彩度は高くなり、ある地点から急落する模様。
実際に調べてみる
実際に撮影して調べてみます。
赤緑青黄の4色の被写体を選択して撮影。


これを、こう。


全ての色が固有色に対して影色は
- 彩度が上がり(20%程度増加)
- 明度が下がり(50%程度減少)
- 色相が移動(5〜10°程度)
しており、やはり
色相をちょい下にずらして明度を低く彩度を高くする。
すれば大丈夫なことがわかります。
なお、これらの原色を固有色にもつ物体は影色を含め全ての色が
色相キューブの左上の頂点から右下の頂点を結んだ対角線より右上に集中していることがわかります。
【応用】シーン別の影色の考え方
以上を踏まえた上で、
日中などの普通の光源なら基本の考えに則してつくればいいけど……夕日は?朝日は?SF的配色は?
とにかく有色光源の場合はどうなるの?
「色相をちょい下にずらして明度を低く彩度を高くする。」
は当てはまるのでしょうか。
まずは色別に写真をとってみます










室内で有色ランプ照らして撮ってます。
*緑光源なかった_(┐「ε:)_
比較してみる
色 | ヒストグラム | 特徴 | 色相 | 影色 |
---|---|---|---|---|
![]() ![]() 白色 | ![]() ![]() | – | 全ての色相が満遍なく存在。 | 基本通りの影色になる。 |
![]() ![]() 白温色 | ![]() ![]() | 青は彩度が低くなり、緑は橙へ変化。 黄・赤は彩度が高くなる。 | 全体が橙に寄り、青・緑が減退するが全ての色相が比較的満遍なく存在。 | 基本通りの影色になる。 |
![]() ![]() | ![]() ![]() | 全体が高彩度に。赤以外だったものは 彩度が少しだけ減少して明度が50%程度落ちる。 | 赤い色相のみ。他全ての色相が減退する。 | ほぼ基本通りの影色になる。青い固有色の影色は多少赤に寄るよう。 |
![]() ![]() | ![]() ![]() | 全体が高彩度に。青以外は全て赤い色相へ。 青は紫へ変化し明度が少しだけ減少。 | 赤〜青のみ。黄色〜水色の色相が減退。 | 基本通りの影色になる。 が、そもそも彩度100%なので彩度変化は少ない。 |
![]() ![]() | ![]() ![]() | 全体が高彩度に。赤は紫へ。他全ての色が青へ。 青以外の固有色は彩度・明度が減少する。 | 赤紫から青の狭い色相(240〜350°)のみ | 基本通りの影色になる。これも彩度変化は少ない。 |
影と陰は考え方が実際には異なりますが一旦一緒くたにしています。
当てはまるようだ。
光源色に関わらず、影のルールは変わらず
「色相をちょい下にずらして明度を低く彩度を高くする。」
と考えて良い模様。
ちなみに
物体色と光源色が類似色だったときと
反対色だったときの関係性は概ね以下のようになっている模様。
- 類似色(例:青い物体に青ランプを照らす)
- →色相:光源色に寄る
- →彩度:上がる
- →明度:上がる
- 反対色(例:青い物体に赤ランプを照らす)
- →色相:光源色に寄る
- →彩度:下がる
- →明度:下がる
「固有色」=「反射色」であり、
(例えば赤いリンゴは赤い光を反射する性質を持つ物体であり、反射色は赤となる)
特定の「反射色」が「光源色」に含まれていなかった場合はもちろん無いものを反射することができない。
純粋な赤い光で青いカーネーションを照らすと、反射する光は赤となり赤いカーネーションを観察できる。
まとめ
乗算を使わず影色を選択したいとき
色相をちょい下にずらして明度を低く彩度を高くする。
さえ覚えておけばなんとかなりそうです。
正直みんな言ってる情報に帰結したので目新しさないですが写真を用いて改めて確認できたのでヨシっ。
今回はこんなところで 👋
【プレゼント】参考パレット
光源色によって固有色がどう変化するのか、
ついでに撮影したので置いておきます。
ご自由にDLの上ご参考ください〜。










コメント