【画力向上施策】厚塗りの難所と解決案【報告書#001】

ネロ先生

睡眠削るの得意分野じゃん。ぷすすー

しんたけ

(こいついつも隣でイビキかきおってからに。。)

しんたけ

例の御本とはlack先生が出版された作画術本のことです
本施策はlack先生の描き方(こちら)を軸にすすめるのだ

筆者のスペック
・厚塗りに対する心理的ハードルは低い
・ただし落書き程度にしか描けない
・どう足掻いても落書き程度にしか描けない

クリスタ使ってます。その他詳しい使用機材はこちら

目次

忙しい人のためのサマリ

    • 出したい色を綺麗に出すにはグリザイユの明度を50%未満に。
    • エッジだけ気を配れば落書き感は払拭できる

第1. 本施策の目的と構成

1:目的

現在、しんたけ画力において目下問題視されているのが「作画速度」および「垢抜けなさ」の2点。

特に作画速度に関しては最初に描いた線画を複数回描き直す、そして時間がなくなった場合描き直しができずに品質の低い状態で完成とすることで「垢抜けなさ」も顕著に現れるというダブルパンチで上達の階段の踊り場で立ち止まっている状態となっている。グリコでじゃんけんに勝てずにずっとぼけーっとしてるちょっと可哀想な奴である。

そこで、今までの線画塗りをやめて思いっきり舵変更することで打破できるのではないのかという挑戦である。
なお、もちろんデッサン力は棚に上げている。

2:実施期間

2023年6月1日〜2023年6月30日

3:施策フロー

(1)例の御本をノートにまとめる

因数分解することで工程の理由の明確化と理解を深める。また、ノートで完結することで大切な御本を汚す危険性を減らすという意図もある。

(2)描く→検討 の繰り返しで改善

描きながら見えてくる改善点が無限湧きで作業時間の膨張が懸念されるが、とりあえずトライアンドエラー。もといノープラン。

(3)施策のまとめとして一枚絵を描いて残課題の洗い出し

工程の整頓とデータテンプレートの検討。

第2. 問題の所在

1:グリザイユ×グラデーションマップ

まず最初の論点としてはこれである。例の御本が提唱している作画術を一言で言えば「グリザイユ塗り×グラデーションマップ」と言ったところで、しんたけはどちらも満足のいく塗りに至ったことがないという非常に戦慄を覚える状態なのだ。

というのも昨年挫折したという経験がある。

2:過去の健闘

そもそも昨年はあらゆる点で画力の低さに苦しんでいたわけだが、こと厚塗りに焦点をあてて論するのであれば

  • 直感的色操作ができない
  • だから出したい色が出せない
  • 色分けはみ出る
  • グラデーションマップはほんとにむり
  • 綺麗に整えようとすると無限の時間が要る

時間をかければなんとかなる?否、時間をかけようが同じ結果しか得られなかった。
そう、絶望的に知識が足らんのである。
前回は趣味絵だったのでともかく今回は仕事絵として描くため少なくとも

  • 出したい色が出せない

だけは最優先事項として対処必須。

    昨年も挑戦してたけど挫折……

第3. 描き方手順

1:例の御本をノートにまとめる

キャラ絵の描き順は以下の通り。

STEP
グレーでラフを描く
  • 線画ベースのラフ
  • キャラのシルエットでフォルダマスクを作成
    • 中にグレーベタ塗りレイヤーと線画ラフレイヤーを入れる
  • 造形を塗り込む
  • グラデーションマップで色味をつける
STEP
色をつける

乗算レイヤーで固有色をのせる。

STEP
色彩調整

一旦ライティングの調整

STEP
清書

パーツごとにレイヤーを切って整えていく

STEP
仕上げ

最終調整。ライティング、エフェクト、色味調整。

\ いちあっぷさんで描き方記事あります /

いちあっぷ
会社員からフリーランスへ、 イラストレーター lackさんによるライブドローイング&添削会レポート | いちあ... 全国の総合学園ヒューマンアカデミーにて大好評開催中のイベント『<全国開催>有名イラストレーターによるライブペイント&添削会』。これまでにプロイラストレーターとし...

2:鬼門の存在

先述の課題点をクリアするためにはSTEP2にすべてがかかっている…はず。
あとは清書…だな。

  • 直感的色操作ができない
  • だから出したい色が出せない
  • 色分けはみ出る
  • グラデーションマップはほんとにむり
  • 綺麗に整えようとすると無限の時間が要る

第4. 実戦と論点

最初は本の記載通りにやりつつ、
つまづいたら違う手法を取り入れてやってたので最終的な細かい順序や塗り方は少し変わりました。。(いいのかこれで)

ちなみに下記悩みのほとんどはこちらで解説されていらっしゃってました(2023/07/11追記)。先に見たかった…。

1:グレーラフ

一体どこまで丁寧にラフかけばいいんだ問題

最初のドツボ。結論から言えばそんなに書き込まないほうがよかった。

今となったらこの程度よ…

極論今回の手法ってモノクロ写真に乗算で色のっけて完成⭐️みたいなものだよね把握把握、とめちゃくちゃ丁寧に描き込んでたんだけど色のっけた後同じだけ時間をかけている自分がいて、「あ、だめだこれ」となったので早々にやめた。

ただ添付は雑すぎるのでもうちょい整えたほうがいい気がする。

マスクにする必要ある?

STEP1のキャラのシルエットでのマスキングに関して。

最初「やりずらい…」となってクリッピングでやってたけど
⚫︎消しゴムで削った場所やっぱ元に戻そ〜ってなる
⚫︎境界がぼやける
の2点が原因でマスクに戻った。どっちでもいいとは思う。

髪の毛とか装飾紐など細かいマスク調整が必要な作業の時はフォルダの外でレイヤー作って形決め→選択範囲作成→マスクに反映
の流れが楽。

「マスク?」な方はこちらをどうぞ。

CLIP STUDIO TIPS
レイヤーマスクを使いこなす1 "選択範囲・マスク #1" by ClipStudioOfficial - お絵かきのコツ | CLIP STU... レイヤー上の画像を、一部非表示にしてマスク(=隠す)できる機能です。 この機能を使用すれば、はみ出しなどの不要な部分を隠すことができるので、楽に彩色することがで...
レイヤー結合するのが怖い…

グレー塗り込みが進むと「線画邪魔ェ」となるので、最初2枚あったレイヤーを1枚にするタイミングがくる。

結合するの怖いなーとか、最初のラフ線画だし残しておきたいなーって時はラフフォルダ作ってつっこんだあと結合。。ぶっちゃけ残しておいて見ることはないんだけどね…

2:色

グレーに色をつける時に色が濁る

「グレー明度:半分より上(50%未満)×オーバーレイレイヤー」

が最適解。肌色のような高明度色はオーバーレイレイヤーにしつつ、それ以外の色は乗算レイヤーを使用。

直感的色操作ができない

いままでレイヤーモードや色彩調整機能で解決しようとしていたが、この色じゃないと思ったところは自分でパレットから色とって直塗りがベスト。

バケツ塗りできない

最終局面は正直、はみ出てもいいだと思いながら自己脅迫しながら塗ってた。

1pxでもはみでたらキモいという考えを捨てて「はみ出ててもサマになる」を目指すべきだと目標だて。

でもやっぱりバケツ塗りが楽で好きなのでSTEP1の線画ラフの時点でさっくり色分けすると多少楽だなという結論。

グラデーションマップ

今回のグラデーションマップの用途は、情報量の加算、いわゆる色味づけが目的なのでそんなに重要要素ではないものの、ここら辺の無料素材を拝借いたしました。感謝。

CLIP STUDIO ASSETS
廃世界 gradient map set - CLIP STUDIO ASSETS イラスト・マンガ制作に役立つトーン、ブラシ、3Dデータなどの素材をダウンロードしたり、自作の素材をアップロードしたりできます。CLIP STUDIO PAINTなどのグラフィック...
CLIP STUDIO ASSETS
ゾウノセ グラデーションセット_CSPHJ - CLIP STUDIO ASSETS イラスト・マンガ制作に役立つトーン、ブラシ、3Dデータなどの素材をダウンロードしたり、自作の素材をアップロードしたりできます。CLIP STUDIO PAINTなどのグラフィック...
CLIP STUDIO ASSETS
Skin Gradient Set 肌グラデエンションセット - CLIP STUDIO ASSETS イラスト・マンガ制作に役立つトーン、ブラシ、3Dデータなどの素材をダウンロードしたり、自作の素材をアップロードしたりできます。CLIP STUDIO PAINTなどのグラフィック...

3:清書

ブラシは何をつかうべきなのか

グレーラフはなんでもいっかなって思うけど
清書は今でも定まっておりません…

一応ほぼlack先生の万能ブラシ(+歪みツール+ぼかしツール)で塗り込み。

パーツわけしんどい

色分けと似たような話で、1pxでもはみでたらあかんという考えは捨て、手前のオブジェクトを切り分ける分にはざくざく手早く脳死で切り分けする。

切り分けはあくまで手前の要素を非難させるという考えの元、「切り取り」ではなく「複製」で対応。

整えるのに時間がかかる

線画時間がない分、厚塗りはここに時間を吸われている。。
ただクリスタはフォルダを横断して歪みツールを使えるし変形できる(ありがとう神)ので「整えすぎは悪…整えすぎは悪…」って呟きながら描いてた。神経質人間には苦痛。

ただ、要素の境界だけはきちんとエッジを立たせないとラフ絵に見えるので特に外周はドアップにしても耐えうるクオリティになるように鮮血注ぐ。

その他は筆跡残るぐらいがベスト?

と、深夜の品川駅ホームの壁一面くそでか厚塗りイラストガン見しながら考えてた。

ラフ線画はぬりつぶすべきなのか

べき。かな、思う。

下手に残ると一枚絵はともかく立ち絵の透過画像のときに線画のような暗い部分がオブジェクトのいちばん淵にいない時めっちゃ目立つしそれを全部整えるとなるとすげー時間かかるので、線画が欲しいなら塗りが終わった後に別レイヤー描くとか。

これで2回修正戻しくらったから…_(┐「ε:)_

まあでも一枚絵なら…気にならない。。はず。というか自分の線色濃すぎな。。

髪の毛のような煩雑的要素が大きな壁

最初、顔と髪を別レイヤーに分けてたんだけどやっぱ時間かかるなあと取りやめ。

というか髪の毛自体すげー苦手なのでキャラの塗り込み半分は髪の毛いじってるんじゃないかという話もあるんだけど…繊細な髪の毛が好きなタイプなのでなんかもっとブロックで捉えるような描き方要検討だなと思ってます。

ここはもう自分の技量ですな…ぐう。

グラデーションマップを生かしきれていない気しかしない

最初にグラデーションマップで色彩調整するけど、
清書の時上から不透明度100%で塗りつぶしてるから全然意味なくねって今思った。

でも100%にしないとラフの汚い部分消せないしな…

完全無意味でもないけど、ここも要検討…

下塗りを潰す恐怖

よく厚塗りで言われるので。。蛇足というかおまけ

新規レイヤー作って上から描いちゃうのがやっぱ楽だなあと思います。
レイヤー作成→結合を常に繰り返ししてます。だって絶対一枚レイヤーじゃなきゃあかんってことないもん。もん。

ちなみに線画ラフで「雑に描きすぎたから整えるか〜」って時
その汚い部分を切り取って(下のレイヤーには残さないかたちで)別レイヤーに避難、不透明度を下げる
→元のレイヤーに通常通り描き込む→避難レイヤー削除
みたいな感じで描くのが好き。

輪郭がぼやける(追記2023/11/06)

これも余談。lack先生の作画術では発生しないと思いますがよくこれも厚塗りで言われるので。

「厚塗りをするとぼやぼやしてしまう」という話の解決方法。

  • 輪郭は濃い色を置く(線画を描く)
  • エッジがくっきりしたブラシを使う
  • ぼかしツールを多用しない
  • 選択ツールで囲いながら塗る
エッジを立たせる

など、エッジが立たない方法をなるべく取らなければ回避できるかなと思います。既存設定の厚塗りブラシ・水彩ブラシ・混色ブラシはエッジがボケやすいものが多いですが、設定いじればすぱっとエッジの効いたブラシになります。(ちなみに自分は自作ブラシ使用…)

5. 施策のまとめ

まとめとして一枚絵を描いて残課題の洗い出しを行う。工程整備とデータテンプレートの検討が主な目的。

実際に描いた絵

タスクとしてあったヘッダー絵を描くことに。

掲出場所:イラスト受注画面。ユーザーはヘッダーをみて遷移してくるので前線に立つ特攻隊長のような重要ポジション。

今回は残課題の洗い出しがメインなので凝ったものより簡単な背景でキャラメインのポートレート画像のようなものを描いた。

デッサン狂いとか色々めっちゃ気になるけどご愛嬌…

しんたけ流描き方手順

そんなには変わっていないけど力の比重は清書に傾けてます(調整中)。
総時間は8.5時間

清書までのタイムラプス

STEP3までが10秒、あとの20秒がSTEP4の清書。

STEP
グレーでラフを描く(1H)
  • 線画ベースのラフ
  • キャラのシルエットでフォルダマスクを作成
    • 中にグレーベタ塗りレイヤーと線画ラフレイヤーを入れる
  • 造形を軽く塗り込む
  • グラデーションマップで色味をつける
STEP
色をつける(数分)

乗算レイヤーで固有色をのせる。
高明度の固有色はオーバーレイレイヤーで対応。

STEP
色彩調整(1H)

ほぼ清書前の整え作業。

STEP1〜STEP3の工程
STEP
清書(6H)

パーツごとにレイヤーを切って整えていく

STEP
仕上げ(0.5H)

最終調整。ライティング、エフェクト、色味調整。

清書編動画はそのうち作ります…

データテンプレートの検討

データテンプレートとはpsdの雛形データのこと。
元々線画塗りの際はこんな感じでフォルダを事前に構成したpsdを複製して描き始めていた。

グラデーションマップの雛形は作ってもいいかもだけど…

一旦今回の厚塗りに関してはそんなに必要そうな感じじゃないなーという所感。
ここは要検討。

見えてきた課題

厚塗り観点

時間配分

現状、[ラフ:清書]を[1:2]の比重でやっているが多少もう少しラフに時間かけてもいいかも。ちなみに先生のスピードペインティング動画の時間比率を換算すると[ラフ:清書]は[1:2]の比重でやっていらっしゃいますが絶対時間に対してのラフの完成度の次元が神域なので比べるとか。。そんなおこがましいことはできません。

髪の毛のような煩雑的要素

共通観点の方がいいかもしれないが髪の毛はほんと課題。

グラデーションマップ

優先度は低いがもう少し使いこなすのに時間がかかりそう。

共通観点

ブラシ

クリスタを初めてもう直ぐ1周年ですが多分主に筆圧設定でしっくりくるブラシが作れていない…ここも要検討課題。

作画速度

本施策の目玉、作画速度をあげたいという課題は解決ならず。
ただクオリティに対しての作画速度は上がったので比率的にいえば成功。
絶対値的にいえば失敗。6時間切れたら…いいな…

解決した課題

垢抜けなさ

まだまだ、といったところだが出口の光は見えた気がする。
このままノンストレス×楽しい×高品質を目指して描き方検討。

もともとの課題
    • 直感的色操作ができない
    • だから出したい色が出せない
    • 色分けはみ出る
    • グラデーションマップはほんとにむり
    • 綺麗に整えようとすると無限の時間が要る

完全クリア、とは言い難いがおおむね及第点。

今後の施策

7月だし新しい本でも、となりたいところだけど
髪の毛とブラシのピンポイントニッチな本はなさそうなので
今月はyoutubeとWEBでインプットしてって感じになりそう。

そこが終わったら次に行こうかな…ダイナミック背景とか小さいものの描き方とかまだまだ知りたいことがたくさん。。

月一で報告書かきたい。。

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著者

都内在住。生まれはつくば、育ちは兵庫の沖縄出身者。
社会人10年。観光業→WEB業→デザイン業、のちフリーランス。ビジュアルデザイナー兼イラストレーターとして活動中。猫とお酒とアニメが好き。最近小説やアニメ観るとすぐ涙腺ゆるゆるしている。

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